自分たちがつくった画像処理デバイスによって 世界中に、もっと美しいハイビジョン映像が広まっていく。そう考えると開発の苦しさなんて吹き飛ぶんです。

デザインエンジニア デジタルコンシューマLSI事業部
大木 隆広Takahiro Ohki

2006年入社 理工学研究科 電子工学専攻修了

プロフィール

大学の研究室では半導体の物性に関する研究に取り組んでいた大木。「研究自体は面白かったのですが、就職するならもっと最終製品に近い研究開発に携わりたいと思って、就職活動は興味があった『デジタルAV機器のLSI設計』に絞って企業研究をしました」。そんな時に出会ったのが、同分野で世界的なシェアをもつNECエレクトロニクス。「会社説明会や面接を通じて、人を大切にする会社だなという印象をもったこともあって、ここなら自分のやりたい仕事ができると確信したんです」と語る。

“業界のグローバル・スタンダード”をつくることを目標に、
ますます高度化する技術テーマに挑戦しています。

大木さんの仕事のようす色鮮やかな美しい映像と、迫力のあるサウンド――世界中で楽しまれている大型デジタルテレビやDVDレコーダなどの画像処理デバイスとして当社が開発したのがデジタルAV機器用SoC(注)『EMMA(エマ)』シリーズです。世界各国で爆発的にヒットしているソニーの『ブラビア』にも搭載されており、今後“業界のグローバル・スタンダード”へと育てていくことを目標としています。

私は、この『EMMA(エマ)』シリーズの製品開発チームに所属して、設計、試作,評価、量産化、不良品解析…と、いわば“製品の一生を面倒みる”ような仕事をしています。この仕事のおもしろさは、何といっても自分たちが開発した製品が、身近なところで、そして世界各国で使われているのを実感できることですが、同時に世界最先端の技術を詰め込んだNECエレクトロニクスの主力製品に携われることにもやりがいを感じています。

とはいえ、デジタルテレビの需要が世界的に高まったことで、セットメーカーであるお客様の要求は、ますます厳しくなっています。デジタル信号のデコード機能、画像表示機能などデジタル放送の再生に必要な機能に加え、これまで外付けだった画質調整回路を内蔵した画期的なデバイスとして2007年6月に市場投入した『EMMA2TH』でも、これまでにないハイレベルな生産効率を実現し、高品質な製品を安定的に供給できる体制を構築することが求められました。しかも“短納期”というおまけつき。この時は、大量生産を実現するためにチームメンバーと協力しながら選別テストを自動化するシステムを開発したり、他部門の社員ともディスカッションを重ねながらさまざまな協力を得たり…と、何とか計画通りに量産化することができたものの、マーケットのニーズに応え続けることの厳しさと難しさを痛感しました。

(注)SoC
System on Chipの略で、CPUやメモリなどコンピュータの主要機能を一つのチップにまとめたもの。システムLSIとも呼ばれる。実装面積の縮小や、消費電力の低減に大きな効果を発揮する。

山積の課題、求められる短納期…。
これでもかというくらい、「産みの苦しみ」を味わっています。

大木さんの仕事のようす現在は、デジタルテレビ向けの次世代MMAの開発に取り組んでいます。顧客の要求や時代のニーズに合わせて新機能(HDMIインターフェース、H.264/AVCフォーマット対応など)を追加し、高機能化や高画質化を図るというのが、この製品の特徴です。そのため、デバイスの構造もますます複雑になり、「従来と同サイズのチップに3個のCPUと1億個のトランジスタ」を搭載しなくてはならないなど、回路設計・レイアウト設計が従来に比べてますます難しくなっています。また、そのほかにも、消費電力をどこまで抑えられるか、顧客要求を満たすための画質チューニングをどうやって施すかなど、課題も山積となっています。

大木さんの仕事のようす…と、あらためて言葉にするだけでも、その難しさにクラクラしてきますが(笑)、「2009年の市場投入」という計画を達成するには、残された時間もごくわずか。とにかく努力とやる気で乗り切ろう…と、チップ全体を数十のブロックに分け、それぞれに設計担当を立てて、急ピッチでの開発作業を進めています。この中で、私はメインCPUユニットの回路設計と、各ブロックを集約して全体の回路を組み立てる業務(1chip統合)を担当しています。複数の関係者を取りまとめるだけでも一苦労ですが、とにかく初めてのことだらけで、設計をしては試作・評価し、課題を見つけては設計担当者に戻す…という試行錯誤を繰り返しています。でも、こういう「産みの苦しみ」を味わえること自体が貴重な経験ですし、これだけ苦労しているのだから、製品が世に出た時の喜びはひとしおだろうな、と思っています。

技術だけでなく、論理的な思考プロセスを磨くこと。
それが“時代に風化されないエンジニア”になる秘訣です。

大木さんの仕事のようすLSIの開発に携わるようになって、大学で学んだ知識や技術はあくまでもベーシックなもので、世界の熾烈な開発競争を勝ち抜いていくために必要なのは、その時代や市場の動向にマッチする製品をスピーディに生み出していく力なのだな、と感じるようになりました。半導体技術はものすごいスピードで進化していて、文献になんて書いていない新しい課題が次々と生まれてきます。それらの課題に対して、どれだけ柔軟に取り組めるかが大切だということを、先輩たちを見ていて学びました。

もちろん大学で勉強することが無意味だということではありません。むしろ大学の研究活動で培う“論理的な思考プロセス”は、エンジニアとしての大きな“武器”になると思います。どんな先端技術も時代とともに風化するけれど、「課題解決のために必要な条件とそのプロセス」を考えだす論理的な思考プロセスは、決して風化しないからです。たとえ大学で半導体とは全く関係のない分野を専攻していたとしても、自分で“未来の技術”をつくっていくことに面白さを感じられる人なら、きっとNECエレクトロニクスのエンジニアとして活躍できると思います。ぜひ、チャレンジしてみてください。

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